第1話:52歳、ひとり。山林に拠点を持とうとした理由

【シリーズ:山林建築プロジェクト、私の実験記録

この記事は、私が2021年から2022年にかけて挑んだ山林建築プロジェクトの記録です。
建築知識ゼロから、行政手続き、法的制約の調査、資金計画、、、そして潔く断念を選んだ損切りという結末。この実験こそが私の「新しい地図」の出発地点。人生はやってみなければ分からないことばかりなのです。

「後悔しない」という私の流儀

あなたには「あの時やっておけば……」と思うことはありますか? 私には、ありません。
そう言うと、何かを成し遂げたすごい人のように聞こえるかもしれませんが、現実はその真逆。山ほど失敗し、いくつもの計画を頓挫させてきました。

それでも後悔がないのは、その都度「これをやらなかったことで、取り返せないあの時を思い出し、将来の自分はモヤモヤしないか?」と問いかけ、実験を繰り返してきたからです。

これから綴るのは、私の人生で最も「盛大な失敗」に終わった実験——山林建築プロジェクトの記録です。

 

母が遺した「自由」という名の宿題

2020年、唯一の家族だった母が亡くなりました。

「どこでも好きなところへ行って、自分の思う人生を、自由に、好きなように生きなさい」という言葉を最後に遺して。

15歳で父を亡くしてから、どこかこじれていた母と私の関係が、この一言でようやく解けた気がしました。

本当の意味で「ひとり」になった私は、53歳にして燃え尽き症候群と悲嘆の中にいました。「この先、どこでどう生きていこうか?」 焦りと不安。世間がいう「ミッドライフクライシス」のど真ん中に、私は立っていました。

 

「ひとり」の住所問題という現実

母の遺言通り、しばらく海外をフラフラ移動しながら生きてみよう。そう考えたとき、冷徹な現実が立ちはだかりました。 「家」の問題です。

頼れる家族がいない私にとって、拠点をなくし「住所」をなくすことは簡単な問題ではありませんでした。

荷物はどうする?住民票は?郵便物は? 40代なら勢いで乗り切れたかもしれませんが、体力の下降を感じ始めた50代。何かあったときに逃げ込める「自分のスペース」は、自由を享受するための絶対的なインフラだと気づいたのです。

直観100%の「面白そう!」から始まった

そんな時、信頼する友人から「山林に家を建てる」という、当時の私には宇宙の話のような提案をされました。建築知識はマイナス。建蔽率も基礎も知らない。

でも、しばらく旅に出ていたい私にとって「維持費の安い山林に、タイニーハウスを建てて拠点にする。」という構想は納得いくアイデアであり、何より「すごい楽しそう!」「面白そう!」という好奇心が先に立ち、私の「実験スイッチ」が入ってしまったのです。

贅沢な学びのはじまり

こうして、建築ど素人の私による「山林建築プロジェクト」という、「新しい実験」が幕を開けました。

毎日YouTubeで工法を調べ、見たこともない建築基準法や都市計画法という難解なパズルに挑む日々。

この歳になって、全く新しい分野を一から学ぶ。なんて贅沢で、知的な遊びだろう。 無知ゆえのワクワク感でいっぱいでした。

そう、この時、私はまだ知りませんでした。

「山林に家を建てる」ということが、「法的制約」と「見えないコスト」という目に見えない強敵と戦うことだということを。

 

——第2話「やってみなければ分からないことがある」へ続く(近日公開)

 

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