「面白そうだからやってみたい」
この単純な理由で始まった山林建築プロジェクト。しかし、建築知識ゼロ以下の私は、一体何から手をつければいいのかさっぱりわからなかった。
普通なら土地探しや予算計画、法律の確認などから始めるのだろう。
でも、そんな常識も知らない私がまず手をつけたのは、驚くほど現実離れした3つのことだった。
今思えば順序が完全に間違っているが、当時はそんなこと気にもしなかった。
最初にやったのはプレゼン資料作成だった。
最初にやったのは、「どんなスペースを作りたいか」のプレゼン資料作成だった。
振り返って考えれば、そんなことより先に調べることは山ほどある。
土地の詳細確認、法的制約、予算の精査…一般的にはそちらを固めてから夢を語るものだろう。
でも当時の私は、土地の詳細もろくに確認せずに、いきなり夢の設計図作りに取りかかった。
コストより先に妄想する―夢が止まらない楽しい時間
もちろん予算の上限は決めていた。でも、この段階では細かいコストは気にせず、自分の理想のスペースを妄想する時間にした。
きっとマイホームを建てる家族も、この段階が一番楽しいのだろう。
最高に楽しい時間だった。断念した今でも、あの夢の時間を過ごせただけで後悔はないと思えるほどだ。
偶然知った「ふるさと回帰フェア」移住相談へ
山林建築を決意してから数日後に、偶然「ふるさと回帰フェア」の開催を知った。
しかも会場は職場の目と鼻の先、東京国際フォーラム。自分が所有する山林のある県も出展している。
「これは運命かもしれない!」
根拠のない確信で、移住相談へ出かけることにした。
この「ふるさと回帰フェア」というのは毎年開催されており、地方移住を考える人にとって貴重な情報収集の場だ。
私も移住するつもりだったので、山林のある県の市役所職員の方に直接相談できたのは大きかった。親身になって話を聞いてくれて、とても心強かった。
サポートいただいたのに結局断念してしまい、申し訳ない気持ちが残っている。
参考書はたった1冊―それで十分だった理由
普段、何か調べ物をする時は関連書籍を5冊ほど読むのが私の習慣だ。
しかし今回に限って、読んだのはたった1冊だけだった。
「自分でわが家を作る本」氏家誠悟著
著者自身が3年かけて家を建てた経緯を綴った本で、建築知識ゼロの私にとって全体像を把握するのに大変参考になった。
他の建築本も何冊か立ち読みしたが、どれもピンと来なかった。というより、専門用語ばかりで、素人には理解困難だったのだ。
この1冊は、同じ素人目線で書かれていたため、とてもわかりやすかった。
出版から時間が経っているのでコスト面はそのまま参考にできないが、全体像をはっきりと描けるようになった。
建築知識ゼロだからスタートできた。
多少の建築知識や常識があったら、こんな順序では進めなかっただろう。というより、そもそも山林に家を建てるなど、決意できなかったはずだ。
「無知」というのは、時に最強の力を発揮するのかもしれない。
私は興味を持ったものには、調べる前にすぐ飛びついてしまう性格である。今回も同様で、この頃は「自分のスペースを山林に作れる気100%」の勢いだった。
あの頃の、まっすぐに突き進んだ自分、今ではたまらなく懐かしく感じられる。
まさかこの後、現実という名の壁に次々とぶつかることになるとは、この時は1ミリも想像していなかった。
—第3話に続く—




