chillspacexという夢

Destination01


いつか、世界のどこかに。

2021年、私はついに、その「どこか」を見つけた、と胸を躍らせた。

山林に、小さな家を建てる。
ひとりを生きる人が、気兼ねなくふらっと立ち寄れる場所。

フラットに、あれこれおしゃべりできる場所。そんな場所を、夢見ていた。

しかし、その挑戦は途中で止まった。

もしあの時、上手くいっていたら──
今考えると、血の気が引く。

そう、断念してよかった。救われたのだった。

あの場所が「どこか」だと、 自分に言い聞かせていたけれど、 そこは、私が思う「どこか」ではなかった。

  1. 想い
  2. 記録
  3. これから

想い

私には家族がいない。 結婚したこともないし、子供もいない。友達もいないに等しいほど僅かである。

世の中的に見えないマイノリティである。

だからなのか、 周りの同世代の人たちに馴染むのがとても難しい。

50歳になった時から、ずっと考えていた。 いや、その前からだったかもしれない。 この先、もし長々と生きることになったとして、 私には何が必要なのだろう。

その時に、頭に浮かんだのは、 今と変わらない生活を維持することでも、 外食三昧な昔のような生活でもなかった。大好きな音楽を聞きながら、何かを作ること。 ひとりの人生についてユニークなひとりの人たちと おしゃべりする場所、相手。

前者はひとりでできる。 が、後者は? ハッとした、大変だ! そんなひとりに限定した場所もなければ、相手もいない。

正直、友達を作るのはとても難しいし、 友達が欲しいか?と聞かれれば、「いらないかも」なのだ。 けれど人が大好きな私は、 知り合い以上友達未満の、チームのような、 同じようにひとりを生きる仲間がいたらいいな…… いや、必要だと思った。

でも、残念ながら、 自分の探しものは見つけられなかった。

見つけられないなら、自分で作るしかない。

ひとり旅で経験した、ひとりで旅する人たちの、 人を決めつけない、フラットな空気感。

そんな空気に触れられる場所を作りたいと思った。

記録

53歳、母の遺言を機に、 思いもしなかった山林へ家を建てることを決意。

建築知識ゼロマイナスからスタートしたプロジェクトは、 土地調査や法的制約、 多額のインフラ費用、 複雑な申請手続きといった、 涙と笑いの現実に直面。

時間とお金を費やしたこのプロジェクトは、 2022年に断念することとなってしまった。

50代半ばで人生一からやり直しとなり、 呆然自失状態に。 しかし、この過程で私が本当に欲しかったのは、 「家」という拠点ではなく 「自由に動ける自分」、 そして私を受け入れてくれる仲間だった ことを思い出す。

「やってみたからこそ納得して諦められた」 この経験は、 深い自己理解と知識という財産になり、 1ミリの後悔もない。 人生の、いい思い出になった。

これから

「どこか」は、 無理やり自分で作る場所ではなかったのだ。

「どこか」は、 素の私をそのまま受け止めてくれるところ。

ひとりの仲間がいるところ。 太陽が心の味方になってくれるところ。 自然の声が聞こえるところ。

今はここが、その「どこか」なのだと思う。

太陽の光を明かりに、 鳥のさえずりの応援を受け、 素の私そのままで文章を書く。

それを、ひとりの仲間がこっそり覗きに来てくれる。 いつか、ここで出会ったひとりのみんなと、 「どこか」へたどり着き、 chillspacexという看板を一緒に出したい。

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